科訓
2010年02月01日
初等科生のための古めかしくも立派な児童手帳が、科長室にあります。「學生手帖」と記されています。いつごろ使われていたものでしょうか。かつて学習院で学ぶ者が全員「学生」と呼ばれていたころであることは確かです。
開いてみますと、はじめに「院長訓示」があり、つぎに「科訓」があります。いまの初等科生からみますと古めかしい表記にみえますが、その内容は古めかしさを感じさせません。
そこで、ご年配の初等科卒業生の何人かの方に、この「科訓」のことを覚えていますか、見たことがありますか、と聞いてみました。すると多くの方が、見たことも聞いたこともないというのです。かなり以前に使われていたことが推測できます。
ともあれ、その一部を紹介してみたいと思います。
○学校にいるとき
・学校を愛せよ、我等が楽しき学舎を。
・真心は礼にあらわれる。
・学生お互の間にも礼がなくてはならぬ。
・教場(教室)は修養の一番大事な道場である。
・姿勢を正しく、心を落ち着けて。
・油断をするな、先生の言葉は一語も聞きおとさずに。
・言葉遣いははっきりせよ。
・学問は尊い、智は人生の道しるべ。
・健康に勝る幸福はない。
・光を浴びよ。
・愉快に、活発に、誰とも仲良く遊べ、健康は運動によって得られる。
・やさしい父母は我が子の帰りを待つ。
・宿題、刷物に気をつけて。
・楽しい読物は戸棚に満ちている。
・騒いで人の心を乱すな、人なきように静かにせよ。
・責任感は尊い徳である。
・友達の物をだまって使うな、自他の区別を明瞭にせよ。
○通学途中
・交通の規則に従うは我等の誇である。
・車中にては初等科学生たる品格を保て。
・口と挙動をつつしみ、他人に不快の気持ちを与えるな。
○家庭にいるとき
・父母の恵みは山より高く海よりも深い。
・爽やかな気持で朝日を迎えよ。
・集合十五分前には学校へ着くように。
・艱難汝を玉にす。復習は子供の大切な務である。
・時計を見て、勉強の時間、直ぐ取かかれ。
・途中で遊ぶな、一気に片付けよ。
・いい加減な仕事をするな、はっきりするまで努めよ。
・天地の恵に感謝して飯一粒も粗末にするな。
・やすらかに疲れを直せ夢の里。
・強い心を持て。
・意気地のない事を言うな。
・自分で出来る事は自分でせよ。
・あやまちはすぐ改めよ。
・態度と言葉を立派にせよ。
あらためて読んでみますと、現在の初等科生にも充分あてはまりますし、その精神は今でも引きつがれています。私たちはその精神を温故知新の精神で受け止めていきたいと考えています。