駅伝に見る礼儀正しさ
2009年01月08日
新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
国内外の経済状況は決して明るいものではございませんが、そうした時であるからこそ、子供たちには将来への力をしっかりと身に付けさせ、将来への夢や希望を育むような教育を行って参りたいと思います。
今回は、1月8日に行われました3学期始業式における話をお届け致します。
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平成21年の新しい年が始まりました。新しい年が始まるに当たり、今年の目標を立てたり、新たな夢や希望を考えたりした人も、たくさんいることと思います。私は、学校が平穏で、皆さんが落ち着いた雰囲気の中で、楽しく学べることを願っています。
1月の「今月のめあて」は「礼儀正しく」です。今日は、冬休みの間に、学習院関係者の礼儀正しい姿に接して大変清々しい思いをしたことについて、お話ししようと思います。
正月恒例の東京箱根間往復大学駅伝競走が1月2日、3日に行われました。この駅伝大会には、一昨年に続き、学習院大学・陸上部の川内優輝さんが、関東学連選抜チームの一員として参加しました。学連選抜チームというのは、1つの大学で単独チームを組めない場合に、いろいろな大学から選手が集まって組むチームです。川内選手は、学連選抜チームの第6区の走者、2日目復路の第1走者として、芦ノ湖畔から小田原に向かう急な下り坂を走りました。結果は第6区を走った23人の中で、3番目の良いタイムで走り、チームの順位を引き上げるのに大きく貢献しました。学連選抜チームは総合で9位、復路だけですと3位という立派な成績を残しました。
私が感心したのは、川内選手のタイムが立派であったこと以上に、スタートを切る直前に、ほんの一瞬テレビの画面に映し出された時の光景です。2日目の第1走者は、スタートを切る前に、チームごとに名前を呼ばれ、ゼッケンと襷(たすき)のチェックを受けます。大会の審判員の方にチェックをして頂くと、川内選手は2度ほどにこやかにお辞儀をして、お礼の気持ちを表していました。この光景を見て、私は大変清々しくまた誇らしい気持ちになりました。新年の挨拶に来ていた親戚の人もそのテレビの光景を見ていて、思わず、「さすがに学習院の学生は礼儀正しい」とつぶやき、感心していました。
駅伝大会を運営するに当たり、多くの人が協力してくれています。そうした協力があってはじめて、選手たちは競技に専念することができます。選手がそのことを忘れずに、感謝の気持ちを表すのは、当然と言えば当然かもしれません。川内選手は、2学期の終業式で話した、「当たり前のことを当たり前に行う」ことができたのです。そのことが、見ている人たちに大変爽やかな感銘を与えたのです。
学習院初等科が開校してすぐの明治12年(今からちょうど130年前)に定められた「学習院学制」という学校の決まりの中に、「本院ノ生徒ハ殊ニ行状方正心術誠実ニシテ世間ノ規範トナルヲ要シ」と定められています。学習院に学ぶ児童や生徒・学生は、特に礼儀や行儀を正しくし、心構えを誠実にして、社会の手本となるように努める必要がある、という意味です。この考えは、学習院に学ぶ者にとっていつの時代においても大切なことです。川内選手の何気ないしぐさがテレビの画面を通じて多くの人の目にとまったと同じように、みなさんの行動や行いが通学路や電車の中で多くの人の目にとまっているかもしれません。常日頃から、行儀や礼儀をきちんと、当たり前のように行えるよう心掛けることにしましょう。
3学期は今年度最後の学期になります。特に6年生にとっては初等科生活最後の学期になります。礼儀正しく、そして学校全体が静かな落ち着いた雰囲気の中で、楽しく学べるように一人ひとり努力するようにしましょう。
中島 平三