6年生への特別授業
2009年03月06日
6年生の卒業が近づいてきました。6学年の先生方の提案を受け、卒業する前に各クラスで「特別授業」を行うことにしました。2月20日に北組、26日に南、西、東の順番で授業を行いました。
どのような内容の授業を行おうかといろいろと思案しましたが、児童たちにとって身近な材料で、興味が持て、それでいながら普段あまり考えたことのないようなテーマを取り上げ、しかも感動・感心してくれそうな授業にしたいと欲張りました。そこで、私の専門である言語学の中から適当な材料を探しました。
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用意したプリントは、「英語は、鏡に映った日本語?」、「背番号一番は一本足打法」、それに宿題として「三河万歳にみんなで万歳三唱」という題名のものです。26日の前日にもう1つの材料---プリントを用意できませんでしたが、題名をつけるとすれば、「ひぃ、ふぅ、みぃに隠された秘密」---をにわかに付け加えました。それぞれのクラスで宿題を除いた3つのテーマから1つまたは2つを取り上げて授業を行い、全クラスに宿題の答案と感想を提出してもらいました。
「英語は、鏡に映った日本語?」では、理科で学んだ化学式の話を手がかりにして、日本語と英語で姓名や住所の表記の順番が鏡文字のように逆転すること、1つの句の中の語順も逆転することを明らかにしました。理科や英語の学習の中でそれとなく気付いていたことが、すっきりと分かったようです。感想文の中には、主語の位置に関しては、逆転していないことについて質問してくる児童もいました。
「背番号一番は一本足打法」は、漢数字の「一」をイチと読むときとイツと促音化して読むときがありますが、どのような場合に促音化するかを一緒に考えていく授業です。児童たちに馴染みのある清音・濁音の区別だけでは十分説明できないので、少し言語学の専門的知識(無声音・有声音の区別)を用いるときれいに説明できることを紹介しました。知識を広げることによって、秩序だった規則性が見えてくることを理解してもらえたようです。
「ひぃ、ふぅ、みぃに隠された秘密」では、大和言葉の数え方には意外な秘密がたくさん潜んでいること、それと数字の数え方を考え合わせるといろいろな謎が解けてくることを一緒に考えて行きました。感想文の中には、大和言葉の数え方に関連して、20日をハツカと呼ぶのに30日をサンジュウニチと呼ぶのはなぜかという質問もありました。ミソカも考え合わせるとおもしろい方向へ発展していくことを、返事に書きました。
宿題の「三河万歳にみんなで万歳三唱」は、同じ「万歳」がマンザイともバンザイとも発音されますが、同一の漢字が異なって音読みされる例をたくさん挙げて、その規則的な対応関係を見つけ出すものです。
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児童にとっては、普段学校で学ぶ国語とも、英語とも、理科とも異なる内容だったので、新鮮に受け止められたようです。感想文の中に、「自分の知らないことがたくさんあることが分かりました」というのがありましたが、そのようなことに気付いてもらえれば、卒業を間近に控えた6年生への特別授業として多少なりとも意義があったのではないかと安堵しています。
中島 平三